■「ボールを握られても失点をしない」強さ
徳島のリカルド・ロドリゲス監督は就任4年目だ。J2では柳下正明監督(ツエーゲン金沢)と並んでリーグ最長タイである。
いまではJ2でも主流となりつつあるハイプレスに、徳島はこのスペイン人指揮官の就任とともに取り組んできた。攻撃時と守備時で選手の立ち位置が変わる、試合中にシステムを変えるといったフレキシビリティな戦いも、今シーズンに始まったことではない。選手が入れ替わっても、チームとして積み上げてきたものが確かにあるのだ。
2対1で迎えた後半の67分には、途中出場の岸本武流のクロスに垣田が飛び込み、リードを2点差に拡げる。自身12点目をダイビングヘッドで決めた背番号19は、今シーズン2度目の1試合2得点だ。
徳島は80分にもネットを揺らした。キャプテン岩尾憲の右CKから垣田がネットを揺らしたのだが、オフサイドの判定で取り消されてしまった。スロー映像では垣田のポジションはオフサイドに見えないが、2点のリードを奪っている徳島は主審に詰め寄ることもなく試合を再開した。
最終盤は自陣での攻防が多くなったものの、後半も磐田に3本しかシュートを許していない。守勢に立たされても慌てることはなく、徳島は危なげのない戦いで終了のホイッスルを聞いた。
試合後のロドリゲス監督は「もう少しいい状態でボールを動かす時間が長ければ良かったが、相手もすごくうまい選手を揃えていてボールを奪うのが簡単ではなかった。ディフェンスをしっかりやってくれたし、試合を通してみればバランスの取れたプレーができたと思う」と話した。相手がボールを動かしている時間帯に失点をしないのは、このチームの大きな強みである。磐田は攻守ともに整備されてきたが、徳島は完成度の違いを見せつけたのだった。
磐田戦では田向泰輝がケガから復帰した。20節のアルビレックス新潟で負傷退場した28歳の戦列復帰により、左サイドのポジションに厚みが増す。また、ストライカーの佐藤晃大もほぼ3か月ぶりの出場を果たした。勝点を62に伸ばした首位チームに、不安材料は見当たらない。