さらに4分、今度はDF福森晃斗が自陣左の低い位置からハーフウェーライン付近にいたチャナティップに浮き球のパス。DFジェジエウがついていたが、チャナティップはこれをスルーして反転、そのまま左サイドを疾走する。この段階で、川崎はジェジエウ、谷口彰悟車屋紳太郎の3人が横一直線で自陣ゴール方向に急ぎ戻る。一方で札幌は、MF駒井善成が谷口と車屋の間に位置しながらやはりゴール方向にダッシュ。チャナティップはGKとDFの間にグラウンダーのクロスで駒井に通そうとしたが、チョン・ソンリョンが前に出たことで間一髪失点から免れた。

 さらに5分、裏に抜け出そうとしたMF宮澤裕樹がペナルティエリア内で粘ってチャナティップにボールをつなぐと、チャナティップはダイレクトでゴール左近くにいたフェルナンデスにダイレクトパス。フェルナンデスはダイレクトでシュートしたが、ここもチョン・ソンリョンが守り切る。

 22分、左サイドから福森がゴール前にクロスを入れる。荒野がこれにうまく合わせようとしたがボールに触れず、そのまま流れたクロスがあわやゴールに入ったかと思われたが、ここもチョン・ソンリョンが必死にかき出して、事なきを得た。

 この4つのチャンスからも分かるように、札幌は、ゴール前に入る選手がその都度違っていた。札幌はこの試合にいわば“ゼロトップ”で挑んだ。先発メンバーのうち、DF登録が3人、MF登録が7人、そしてFW登録は0。チャナティップや荒野、駒井がある程度自由に動くことで、ゴール前に誰が入ってくるのかをつかみづらくした。

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