■北九州と長崎の違いは「得点源」
しかし、富樫の右足シュートはGKにブロックされてしまう。そのままボールを支配する長崎は、名倉が右サイドからペナルティエリア内へ入り込み、DFを振り切って右足でシュートする。これもまた、GKに防がれた。
北九州対策としての3-4-2-1は機能していた。2シャドーの名倉と氣田亮真は相手の守備ブロックにドリブルで飛び込んでいき、亀川諒史と米田隼也の両ウイングバックが高い位置を取って圧力をかけた。
ディフェンス陣では4試合ぶりに先発した角田誠が、3バックの中央で落ち着いたプレーを見せた。4試合出場停止中のフレイレに代わって先発している鹿山拓真も、そつなくプレーしている。
足りなかったのは決定力だ。
長崎には絶対的と言える得点源がいない。チームの最多得点は畑潤基の5得点で、FWでもっともプレータイムの長い富樫はここまで4得点にとどまっている。
J1昇格争いをしているライバルはどうか。
徳島では垣田裕暉が9点、河田篤秀が7点をあげている。シーズン序盤は得点力不足に苦しんだ福岡では、フアンマ・デルガドが7ゴールまで伸ばしてきた。彼と2トップを組む遠野大弥も7得点を記録しており、モンテディオ山形から獲得した山岸祐也は、下位に沈むチームで6得点をマークしてきた。
北九州にはディサロ・燦・シルヴァーノがいる。背番号9を付ける24歳は、前節までにリーグ2位タイの11得点をあげている。彼と2トップを組む町野修斗は7ゴールを記録している。
北九州戦の長崎は後半も優勢を保ったが、76分にディサロの先制弾を浴びた。この試合で彼に許した1本のシュートが、失点につながってしまった。
ビハインドを背負った長崎は、89分に直接FKから同点に追いつく。決めたのはボランチのカイオ・セザールだった。北九州との上位対決は、「痛み分け」(手倉森監督)に終わった。