■FCバルセロナを川崎が上回った

 そして、今シーズンの川崎フロンターレが当時のバルセロナより明らかに上回っているのは、パス・サッカー(ショートパス)で崩すことを主としながらも、同時にロングパスを駆使したロングカウンターでも多くの得点を生み出している点だろう。

 最近の例でいえば、9月20日のJ1第17節。川崎は浦和レッズを3対0で破っているが、その3点目(92分)は守田英正のロングパスから生まれた。ハーフライン付近の右サイド山根視来から左サイドの守田に横パスが渡り、守田が再び右サイドにロングボールを放り込むと、そこには家長昭博がフリーで走り込んでいた。

 その家長が再び左の宮代大聖に振り、シュートのこぼれ球を最終的にレアンドロ・ダミアンが決めるのだが、勝負は家長にボールが出たところだった(家長が直接自分で決めずに、最後まで手間をかけるあたりが川崎らしい)。

 川崎というチームはショートパスをつなぐのが特徴なのだが、今シーズンはこうしたロングボールからの得点が非常に増えているのだ。

 浦和の試合の後、電車の中で浦和サポーターのこんな会話が聞こえてきた。

「3失点したが、ミスがらみとカウンターばかりだった。こちらが攻める形が作れなかったことが問題なのであって、川崎といっても大したことないのではないか」

 たしかに、2点目もカウンター気味のものであって、失点した側としては「崩された感」は小さかったのかもしれない。だが、あのロングカウンターがきわめて高い確率で得点に結びつくのは何故かということは考えておくべきだろう。

※その3へ続く

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