■リオネル・メッシという名の超人的な得点マシーン
そして、今年のJリーグではそのバルセロナの「ティキタカ」にも匹敵しようというパス・サッカーによって川崎フロンターレが首位を独走し、1試合平均で3程度の高い得点力を維持している。
全盛期のバルセロナもたしかに得点力は高かったが、そこにはリオネル・メッシという超人的な得点能力を持った“パーツ”が存在していた。バルセロナといえども、メッシなしにあれだけの得点を決めることはできなかったろう(逆に、バルセロナを離れてアルゼンチン代表でプレーするメッシは簡単にゴールを生み出せなかった)。
そう考えると、メッシという究極の得点マシーンなしで高い得点力を発揮する川崎フロンターレこそが、パス・サッカーの究極形なのかもしれない。
もちろん、川崎が戦っているJ1リーグの対戦相手とリーガ・エスパニョーラやUEFAチャンピオンズリーグでFCバルセロナが戦っていた相手とではまったくその強度が違うのだから、「川崎の方がバルセロナより強い」などと言うつもりはまったくない。ただ、(メッシという“パーツ”なしで)パスの精度だけを武器に得点を重ねるという意味で、川崎の方がパス・サッカーとしては純粋なのではないかと言いたいのである。