■7試合勝利なし! V・ファーレン長崎の勢いが…
連勝を「7」とした福岡と対照的に、長崎は7試合連続で勝利から遠ざかっている。9月に入って5分2敗と、序盤の勢いが失われてしまった。
試合後のフラッシュインタビューで勝敗を分けたポイントを問われた手倉森誠監督は、ほとんど間を置かずに「先制点ですね」と答えた。ロングボールを跳ね返したあとのセカンドボールを回収され、2本のパスでラストパスへ結びつけられた展開は、「福岡はボールを奪ったあとのワンタッチプレーが速い」という事前の分析どおりで、あらかじめ警戒していたはずだからだ。
「我々はスタイルを貫こうとして、福岡はしたたかに我々のミスだけを突こうとしてきた。そのサッカーにやられたな。失点はミスパスだったり、(ボールを)渡してしまったところだったりなので」
いつものようにターンオーバーを敷いたが、いつもよりも大胆なキャスティングだった。とりわけ驚きを誘ったのはDFラインである。
プロ2年目のCB鹿山拓真はリーグデビュー戦だった。前節の終了間際にプロデビューを飾っていた左SB江川湧清も、この日がリーグ戦の初先発だった。また、GKの高木和徹がゴールマウスに立つのは、8月16日の第12節以来である。
リーグ戦から遠ざかっているか経験の少ない選手が、致命的なミスを冒したわけではない。鹿山にしろ江川にしろ、パフォーマンスは悪くなかったと言える。ただ、ほぼベストメンバーで臨んできた福岡との対比で考えると、同じように主力をぶつけても良かったのでは、との印象は拭えない。
それでも、悲嘆にくれないのが手倉森監督である。
「落としてしまったゲームで、僕自身がフレッシュさをテーマに思い切って若い選手を使いました。思い切ったなかで思い切りやられましたけれど、彼らの経験がこれからの20戦に絶対効いてきます。大きな花を咲かせる前に、小さな種をまいた試合でした」
次節も上位陣との直接対決だ。北九州と同勝点ながら、得失点差で首位に立った徳島をホームに迎える。「(前半戦で)一番完敗した相手」に、「3位からのし上がっていく気持ち」をぶつけられるか。
徳島より1日休養が少ないなかで、絶対に落とせない一戦となる。