■得意の逃げ切りパターンで福岡が長崎に勝点で並ぶ
福岡は守備に自信を持つ。前節までの失点はリーグ最少2位の「18」だ。クリーンシートは「9」を数える。彼らにとって3対0というスコアは、十分過ぎるほどのアドバンテージと言っていい。
ハーフタイムを含めて4度の選手交代をした長谷部茂利監督は、80分の交代を逃げ切りのシグナルとする。システムを4-4-2から5-4-1へ変更したのだ。福岡の必勝パターンである。
90プラス4分に左CKの流れから失点を許すものの、福岡は3対1で試合を終わらせた。スキのない勝利だった。
試合後のフラッシュインタビューで、長谷部監督は「立ち上がりから自分たちの色を出せたゲームでした。チャンスの作り方も得点そのものも良かったと思います」と話し、連勝の要因について聞かれると「選手たちが攻守に同じ絵を描けるようになってきている」と答えた。
選手起用から好調の要因を探れば、キャプテンの前寛之の存在がクローズアップされてくる。長谷部監督とともに水戸ホーリーホックからやってきた25歳は、シーズン再開直後にケガで戦線離脱しただけでなく、8月には無症状ながら新型コロナウイルスの陽性反応が出るなど、苦しい時間を過ごしてきた。
ピッチに戻ってきたのは9月5日の第17節だった。くしくもこの試合から、福岡の連勝がスタートしている。8月下旬にサンフレッチェ広島から期限付き移籍した松本とのダブルボランチは、9月からの猛烈な追い上げの主因と言っていい。
今節は首位のギラヴァンツ北九州が敗れ、2位の徳島ヴォルティスは引分けた。福岡は得失点差で4位のままだが、北九州と徳島との勝点差を「4」に縮めている。
9月30日の栃木SC戦を挟んで、10月4日には北九州との直接対決が待つ。栃木と北九州を連破すれば連勝は「9」となり、北九州が持つ今シーズンの連勝記録に並ぶ。福岡は要注目だ。