鹿島が得た永戸勝也という安心(2)ベガルタ仙台で「3つのポジション」の葛藤の画像
仙台時代の永戸勝也  撮影:中地拓也
鹿島でのプレー姿とプロ成績表はこちら!
※その1はこちら

 今季の鹿島アントラーズで、チームトップタイとなる13度の先発を果たしている永戸勝也ザーゴ監督からの信頼が厚く、その要因が攻撃や守備の安心感、そして、ポジショナルプレーの理解者であることは確かだ。永戸は、仙台ですでにポジショナルプレーをしていたが、その仙台で、永戸は必ずしも順調な成長曲線を描いたわけではなかった。

 永戸は法政大学を卒業後、2017年にベガルタ仙台に入団。すでに仙台の練習に参加しており、一番先にプロの話をしたのが仙台だからだという。2016年まで4バックだった仙台は、2017年から3バックに変更。キャンプで渡邉晋監督が新たな戦術を落とし込んだ。新シーズンを前に、「開幕スタメンもあり得る」といった趣旨の話を繰り返しするほど、このレフティに渡辺監督は期待していた。

 そして2017年2月25日、ユアスタのピッチに永戸はいた。J1第1節、仙台―札幌のスターティングメンバーとして。背番号は「2」。期待は、リップサービスではなかった。仙台は3-4-3で、伝統の4バックを捨ててのシステムとなった。

 永戸のポジションは左ウイング。チームで3人目となるJ1開幕ルーキーだった。

 その後も、永戸は先発出場を続ける。面白いように縦に抜くことができ、アシストは「3」を数えた。特に、5月28日のホーム新潟戦で見せた、FWクリスランへのクロスは“絶品”だった。ハーフウェーライン付近で相手からボールを奪うと、ゴール前に走ろうとするストライカーの位置を見るやクロスを上げた。そのクロスは、相手ディフェンダーに届かない弧を描いて伸び、吸い込まれるようにクリスランに届けられた。クリスランが決めたそのゴールは、J1の5月のベストゴールに選ばれた。

 しかし、第17節G大阪戦で永戸は全治6か月の怪我を負う。そしてこれ以降、この年の試合に出ることはできなかった。結局、出場試合数は「17」で、先発は「16」。不本意な結果だった。

PHOTO GALLERY 鹿島でのプレー姿とプロ成績表はこちら!
  1. 1
  2. 2
  3. 3