翌年、怪我から復帰した永戸だったが、1年間通して先発の座を維持することはできなかった。関口訓充中野嘉大といった、個人での力で突破できる選手との競争に勝つことができなかったからだ。前年に比べ、この年の永戸は縦に突破するのに苦労した。怪我の影響もあったのかもしれない。あるいは、相手の対策もあったのかもしれない。いずれにせよ、29試合に出場したものの、先発回数は「13」、アシストも「3」。飛躍することはできなかった。

 しかもこの年、仙台は天皇杯で決勝まで進むことができた。しかし、その先発メンバーに永戸は入ることができなかった。ベンチから戦況を見つめ、そして敗戦のホイッスルを聞いたのだ。

 地方チームの躍進は、草刈り場になることを意味する。仙台は2019シーズンを迎えるに当たり、多くの選手を失った。「もう1年仙台でやりたかった」と語る板倉滉は、マンチェスター・シティに移籍。中野嘉大は札幌、奥埜博亮はC大阪、野津田岳人矢島慎也は所属元へと、チーム編成の大きな変更を迫られた。その中で、永戸は3バックの左にコンバートされることとなった。

 2018シーズンの仙台で同ポジションを務めていた板倉は、守備だけでなく、“ボールの出口”としても機能していた。つまり、渡辺監督にとって、攻撃センスがある人材が必要なポジションだった。しかし、いきなりセンターバックとしてプレーできるわけもなく、永戸はたびたび失点に絡んだ。渡辺監督は、慣れさせるために起用し続けたが、大きく変わったチーム状況で、負けが先行した。開幕8試合で1勝6分1敗。時に永戸は、サポーターから敗戦の原因として口さがないことも言われた。

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