■後半立ち上がりの大勝負

 もう一つは、後半に入るところで小林悠と旗手を投入してシステムを変更して勝負に出たこと。

 前半は基本形の4-3-3だったが、後半は大島がポジションを落として守田英正と並んでMFとなり、前線に4人を並べた。4-4-2というより4-2-4と言うべき並びで前線からプレッシャーをかけた。

 前線からのチェイシングといっても、単に相手のパスコースを限定するだけではない。今シーズンの川崎は、相手DFが持っているボールを実際にもぎ取ってしまったり、相手の守備陣にミスを誘発させたりするような激しいプレッシャーをかけてくる。

 この立ち上がりの積極的な姿勢が功を奏して、川崎が連続2ゴール。スコアを1対3とした。早い時間に2点差としておいたことは、この試合ではとくに大事なことだった。

 というのは、スコアが1対3となった数分後に日産スタジアムを激しい雨が襲ったからだ。記者席でも前列に座っていた人たちが慌てて非難するような雨で、遠いサイドのタッチライン沿いがよく見えなくなるような豪雨だった。

 日産スタジアムのピッチはこの程度の雨では大きな影響は受けない。しかし、雨の中のスリッピーなコンディションでは、パスの精度が落ちてしまうのは仕方のないことだ。結局、雨は試合終了まで降り続け、ともに決定的なチャンスを作ることができないまま90分が経過。雨の中で慎重な試合運びに切り替えた川崎が、1対3のスコアのまま逃げ切った。

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