■川崎フロンターレがトップに君臨する理由
もし、雨が降らず、良いコンディションのまま試合が進んでいたら、おそらくさらに何度かゴールネットが揺れる場面があって、2対4とか3対5といったスコアになっていたかもしれない。
逆に、もし1対1のスコアのままで豪雨に見舞われたら、勝負の行方はどちらに転んだかまったく予断を許さなかっただろう。
雨の中ではパスの精度が落ちてしまうから、川崎や横浜FMの攻撃力をもってしても確実に得点チャンスを生み出し続けるのは困難なはずだ。一方で、どちらにも守備のミスが起こってゴールが転がり込んでくるような可能性があるのだ。
つまり、あれだけの雨の中では「確実に勝ち切る」試合運びをすることは不可能。
だからこそ、雨が降り始めてそういう危険な状況になる前にスコアを1対3としておいたことが川崎にとっては大成功だったのだ。
今では、狭い地域での今後の降水を予測するためにレーダー画像などを簡単に利用することができる。実際、僕も雨が降り出してからは、スマートフォンで高性能レーダーの画像を見ながら試合を観戦していた(試合展開にも関わることだし、同時に「帰宅時に雨に降られないか」も心配だった)。
後半の立ち上がりに前線から激しいプレッシャーをかけて勝負を決めてしまおうとした判断は大正解だった。果たして川崎のベンチが後半の途中から激しい雨に見舞われることを知っていたのかどうかは分からないが、もし天候の変化を考えて後半の立ち上がりに勝負をかけようとしていたのなら、見事な戦略というしかない。
中央からの攻撃が難しいとなればすぐにサイド攻撃を徹底し、そして雨を予測していたのかどうかは分からないが、後半の立ち上がりに勝負をかけて実際にアッと言う間に2点を奪いきってしまった川崎。豊富な持ち駒を揃えて、試合の進め方を自在に変化させていくことができる。それが、現在の独走状態を生み出しているようである。