■生き返った横浜F・マリノスとダービー戦で激突
J1リーグも9月に入って中盤戦ということになる。第14節(9月5日)には、川崎が横浜F・マリノスと対戦する「神奈川ダービー」がある。
昨シーズンの覇者、横浜FMは開幕以来不振が続いていた。積極的に攻撃参加するDFライン、とくにセントラルMFとしてプレーする両サイドバックの裏を狙われたり、またパス回しを遅らせられたり、相手チームは前年で優勝チームのことを分析し、対策を考えてきたのだ。そして、超攻撃的なチームが「得点力不足」に陥ってしまった。
それに対して横浜FMが選択したのは、新しい血の輸血だった。
強引な突破力を生かすジュニオール・サントスが入ったことで、ボックス内にパスを送って走り込んでくる味方にピンポイントで合わせるという、これまでの横浜の攻撃パターンに新しい要素が加わった。これによって、「得点力不足」という問題はいっぺんに解消した。
第10節までの10試合で21得点。複数得点試合もたった3試合だったチームが、8月19日の第11節、清水エスパルス戦に4対3で勝利して以来、4試合で14ゴールを奪っている。なんと1試合平均3ゴールを上回っているのだ。そして、順位も6位まで上げてきている。
優勝争いで首位をひた走る川崎にとっても、調子を上げてきた横浜FMとの試合は一つの試金石となるだろう。
超攻撃スタイルの横浜FMは守備陣も攻め上がり、ボールを失ってもすぐに切り替えて前からプレッシャーをかけてくる。
川崎は守備陣も強力だ。とくにストッパーの谷口彰悟は守備能力も高いし、パスをつないで攻撃の起点にもなれる選手だ。だが、谷口だけでなく川崎のDFは「パスをつなぐ」というコンセプトにこだわりすぎて無理につなごうとする場面がある。そういうパスをカットされた場合、横浜FMのように攻め残りの選手が多く配置されていると、一気にゴール前にボールが送り込まれてピンチを招くことになる。
もちろん、横浜FMには守備の問題がある。その点は、アンジェ・ポステコグルー監督も考えてはいるようで、サイドバックが攻撃参加を自重する場面も多くなってはいる。だが、ヴィッセル神戸との第13節で2点のリードを守り切れなかったように、横浜FMの守備の問題は解決できていない。
つまり、横浜FMと川崎の対戦では激しい撃ち合いになる可能性もあるし、「撃ち合い」はおそらく横浜FMの思う壺だろう。川崎としては、そういう危険な撃ち合いを避けながらゲームコントロールをして確実に複数得点を決めて勝利したいところだ。
今シーズンの川崎の今後を占う意味でも、第14節の横浜FM対川崎フロンターレ戦には注目したい。