■バイエルンは絶対的な地位にいる
つまり、1974年の夏にヨーロッパ・サッカーの覇権はアヤックス=オランダからバイエルン=西ドイツに移行したのである。
1970年代の前半の黄金期以降、それから半世紀にわたってバイエルン・ミュンヘンは「ドイツを代表するクラブ」としてヨーロッパの舞台で戦い続けてきたということになる。
それまでのバイエルンは、ミュンヘンの一地方クラブに過ぎなかった。
実際、1963年に西ドイツで初めての全国リーグとしてブンデスリーガが発足した際にミュンヘンを代表して新リーガに参加したのはライバルであるTSV1860ミュンヘンだった。バイエルンには、すでに全国リーグに参入するだけの実力はあったのだが、ブンデスリーガ加入クラブが過去20シーズンの成績によって決定されたことでその座を逃すことになってしまったのだ。
しかし、バイエルンは1965年にブンデスリーガに参戦すると初年度に3位に入り、同シーズンにはカップ戦(DFBポカール)で優勝。そして、翌年にはヨーロッパ・カップウィナーズカップを獲得。さらに、1969年にはブンデスリーガで初優勝し、カップ戦も獲得してダブル・チャンピオンとなった。
以来、約50年に渡って、バイエルンはドイツ(西ドイツ)最高のクラブとしての地位を明け渡すことがなかった。ブンデスリーガでは、今シーズンまで8連覇。国内では絶対の地位にあるのだ。