■1974年夏の偉大な出来事
さて、FCバイエルン・ミュンヘンにとっては、チャンピオンズカップ時代を含めてこれが6度目のビッグイヤー獲得となる。そのうち3度は1970年代前半の3連覇によるものだ。フランツ・ベッケンバウアーやゲルト・ミュラー、ゼップ・マイヤーがいた黄金時代である(いずれも、バイエルン州内で育った選手たちだ)。
最初の優勝は1973/74年シーズン。ベルギー・ブリュッセルのヘイゼル・スタジアムで行われたアトレティコ・マドリード(スペイン)との決勝戦は1対1の引き分けに終わり、再試合で4対0の勝利を収めたバイエルンが初優勝を決めた。そして、バイエルンはこのシーズン以降3連覇を果たすことになる。
そして、その直前、つまり1970/71シーズンからの1972/73年までの3シーズンは、リヌス・ミケルス監督とヨハン・クライフが率いるアヤックス(オランダ)がやはり3連覇を飾っている。
1974年の決勝戦が行われたのは同年5月。つまり西ドイツ・ワールドカップの直前ということになる。そのワールドカップ決勝は、まさにバイエルンの本拠地であるミュンヘンのオリンピアシュタディオンで行われ、ベッケンバウアーをはじめバイエルン勢を主体とした西ドイツ代表が“ホームスタジアム”でクライフのオランダを破って優勝を飾った。一方、オランダ代表は1969/70シーズンにチャンピオンズカップを制覇したフェイエノールトとその後3連覇したアヤックスの連合軍だった。