■中距離のパスが収まる北九州の2トップ
北九州は、攻から守への素早い切り替えを支えとして、相手攻撃陣を狭いエリアへ追い込んでボールを奪い返す。ハイプレスをかわされても、攻撃の起点を作らせない。東京Vが繰り出すタテパスや際どいスペースへのパスは、DFの厳しいアタックとダブルボランチのプレスバックで遮断していった。サイドハーフの守備意識も高かった。
両チームの違いとしてもうひとつ際立ったのは、「ひとつ飛ばしたあとのボールの収まり」だ。
相手のプレスを回避するために、中距離のパスを前線へ当てる。北九州は2トップのディサロ 燦シルヴァーノと町野修斗が確実にボールを収めていったが、東京Vは前線でボールが落ち着かなかった。それゆえに、自分たちがボールを持つ時間を十分に確保できず、守備に立たされる時間が長くなった。彼らが理想とするゲームプランにはならなかった、ということだ。
攻撃でも守備でも選手同士が効果的に関わる北九州は、59分に町野がヘディングシュートを決めて2対1とする。その後も守備のリスク管理を怠らず、カウンターを繰り出して相手に圧力をかけ続け、1点リードのまま逃げ切った。5連戦のラストゲームでも運動量が極端に落ちることはなく、フィジカルの逞しさも見せつけた快勝である。