■グリーズマン2つの悩み

 そんな中、グリーズマンも適応に苦しんできた。彼が苦戦した理由は、2つある。ひとつは、シーズン途中の監督交代。もうひとつは、ポジションが定まらなかったことだ。

 グリーズマンの獲得を望んだのはエルネスト・バルベルデ前監督である。だがバルベルデは1月に行われたスペイン・スーパーカップ準決勝でアトレティコ・マドリーに敗れたのが原因で契約解除、実質上の解任を宣告された。後任のキケ・セティエン監督は初めてのビッグクラブでの指揮で戸惑いを隠せず新加入選手のフィットをサポートする余裕を持てなかった。

 グリーズマンはバルセロナ移籍後、左ウィング(17試合)、センターフォワード(17試合)、右ウィング(1試合)と多くのポジションで起用されてきた。アトレティコ・マドリーでは、基本的に2トップの一角として、ディエゴ・シメオネ監督に攻撃時の全権を与えられていた。異なるタスク、複数ポジションでのプレーに慣れるのに時間がかかった。

 現在のバルセロナでは、メッシとスアレスを満足させられなければ始まらない。とりわけ、メッシを快適にプレーさせられるかは大きな鍵となる。それが、近年バルセロナが求めてきた「第三のFW」に要求されるものなのだ。

 セティエン監督は前線の3選手を生かすために【4ー3ー1ー2】のシステムを使い始めている。3トップを並列ではなく逆三角形で配置する手法だ。ただ現状、そのアイデアは暫定解に過ぎない。それが最適解になるかどうかはーー。チャンピオンズリーグの結果次第だ。

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