前半の3度の決定機逸を受けてだろうが、大槻毅監督はハーフタイムに「もう一回、スイッチ入れろ、アクセル入れろ。さあ、行こう浦和レッズ!」と選手にハッパをかけた。
一方の柏・ネルシーニョ監督は同じくハーフタイムのとき、選手に「急ぎすぎず、空いたスペースに入ろう」と先制点の余裕か、慌てず騒がずの構えだった。むしろ、重心を前に持ってくるだろう浦和を、手玉に取るかのような指示だった。
“前のめりの浦和”と“狡猾な柏”――監督の姿勢は、そのまま戦局に投影された。
後半、浦和は前から圧をかけて試合をひっくり返そうと試みたが、守備から攻撃の切り替えがガッチリ駆動した柏にうまく対処され、逆転どころか51分と56分に連続失点。しかも、サイドからクロスが入って大きく振られてから中央で決められるという、おなじみの失点パターンだった。
浦和は慌てて、FW興梠慎三、FW杉本健勇、今季、初出場のMF伊藤涼太郎の3枚替えを敢行。チームはさらに前のめりになった。優勢の柏としては守備を整えて攻めてくる浦和を受け止め、奪ってからカウンター、とこれほど楽な展開はない。実際、この展開に持ち込まれてからの89分、浦和は4失点目を喫した。
「2点目を取られ、ゲームコントロールが利かなくなった。少しオープンになったところでオルンガ選手という縦に効力を発揮する選手を抑えて、ゲームを進めるプランだった。少しバランスを前目にかけないといけなくなったので少し難しくなった」(大槻監督)
柏の術中にまんまとハマってしまったわけだ。