■18年の松本山雅のような例もあるが…
では、5節終了時点で3位以下に止まっていた過去の昇格9チームはどうだろう。
9チームのうち6チームは、5節終了時点でひとケタ順位だった。10位以下からJ1昇格へ辿り着いたのは、15年の大宮、18年の松本山雅FC、そして昨シーズンの横浜FCである。
15年の大宮は、首位と勝点4差の10位だった。しかし、攻撃の大黒柱だった家長昭博、得点源となるドラガン・ムルジャが負傷で離脱していたため、今後へのプラス材料を見つけるのは難しくなかった。実際に彼らが復帰することでチームは上向き、最終的にJ2優勝を飾っている。
18年の松本は、順位だけを見れば脅威の巻き返しである。5節終了時点では3分2敗の20位で、シーズン初勝利は7節まで待たなければならなかった。
もっとも、チームを率いていた反町康治監督は、J2を熟知する智将である。最終的にリーグ最少失点を記録する守備をベースに、22節に順位表の最上位に立つ。その後は2位以内をキープし、フィニッシュテープを切った。
昨シーズンの横浜FCは、複合的な要因が13年ぶりの昇格に結びついた。
5月の監督交代や7月の中村俊輔の加入、さらには松尾佑介や斉藤光毅らのフレッシュな力がチームを活性化し、19節から36節まで18試合負けなしで駆け抜けた。長丁場のJ2で「勝負どころ」と言われる夏場を無敗で乗り切ったのは、まれに見る混戦と評されたシーズンを抜け出す主因にあげられただろう。
話を今シーズンに戻そう。
第5節では栃木の大宮撃破だけではなく、ザスパクサツ群馬がモンテディオ山形を破ってシーズン初勝利をあげた。2分け2敗と苦しんでいた東京ヴェルディも、甲府を4対2で退けた。永井秀樹監督が追求する攻撃的なサッカーが、ホームで爆発している。
第5節はミッドウィーク開催だったこともあり、大胆なターンオーバーを敷いたチームや、先発を入れ替えたチームがあった。千葉はフィールドプレーヤー10人を総入れ替えし、ツエーゲン金沢を2対0で下している。
各チームの監督は、週末に控える第6節も見据えながら、15日のナイトゲームを戦ったわけである。連戦をいかに乗り切るのかという意味では、次節の戦いぶりを注視するべきだ。
新型コロナウイルスの影響でスケジュールが短縮された今シーズンは、試合間隔の短い連戦がいつも以上に多い。中2日または中3日で迎える次節は、チームの総合力を見定める好機となる。”水曜日後の週末”に勝点を落とさないことは、J1昇格の条件のひとつと言っていい。