取材席の数は、1試合あたりわずか25席。そこに座る幸運にあずかったベテラン・サッカージャーナリスト2人が、TV観戦をした進行役と、マスクごしに口角泡を飛ばして語り合った。大住良之さんは、埼玉スタジアム2002から、後藤健生さんはBMWスタジアム平塚から、試合後に編集部へと駆けつけた。深夜0時にスタートした熱い激論は、予定の時間をはるかに過ぎても終わろうとする気配すらなかった。
進行:半田雄一/中田功(本誌編集長)
■2020年の優勝候補
半田 だいぶ夜も更けてまいりました。優勝候補などを上げていただけると……。
大住 ぜんぜん見てないから……。
後藤 今日の結果だけ見て? サンフレッチェ広島(と断言)。神戸対広島はダークホース対決で、これ勝ったほうが(優勝に)絡んでくるな、と。それが3点差っていうのは、これは広島来るのかな、って。
大住 これ神戸はダメージ大きいよね。試合としてはシュート17本打ってるんだよね。広島が9本なんだけど、(結果は)0-3なんだよね。しかもなんか、決定的に破られてやられたみたいなんだよね。
半田 (日本代表の)浅野拓磨の弟(雄也)が点取ってますね。
大住 浅野の弟が出てきたんだよね。似てた?
半田 そっくり。でも神戸は問題ですね17本も打ってノーゴールは。
大住 そういう試合もあるけどね。
いや、まあ、神戸はほんとにね、今年もしかしたら、とは思ってたんだけど。やっぱり天皇杯で見たときはね、バランスもすごくよくなってたし、ACLでも最初の試合に勝ったんだよね。ACLって、初出場のチームって難しいんだよね。それを平気で2試合勝っちゃうって、やっぱりイニエスタなどの経験の力が生きてるし、ヨーロッパ型の、個の力を前面に押し立てて、とっぴなことやるわけじゃなくて、オーソドックスな形で押し切っちゃうっていう。で、(優勝争いは)神戸と横浜の対決だったらおもしろいな、って思ったんだけどね。
後藤 そうそう。パスつなげるチームだから、夏場でも活躍するだろうし、神戸。
で、広島も去年よりもポゼッションしっかりできるようなチームつくってるっていうんで、これもいきそうなんで。僕は昨日(7月3日)NHKのラジオの番組で、明日の注目カードはって(聞かれて)、NHKが川崎の試合やるってから、川崎対柏を一番に言って、二番目にこの神戸と広島のダークホース対決注目ですって言って、そこで3-0って結果出ちゃったんで、これはやっぱり広島が来るって。