ワールドカップ開幕直前の親善試合で日本代表に史上初めて敗れ、フィル・フォーデンやコール・パーマーらを外す大ナタを振るったイングランド。だが、いざ北中米W杯がスタートすると、前回カタール大会で日本を沈めたクロアチアに4-2で快勝し、1966年以来60年ぶりの優勝に向けて力強い一歩を踏み出した。
クロアチアの粘りに苦戦した前半、イングランドを救った2つのゴールはいずれも右コーナーキックから生まれたものだった。彼らはなぜ、セットプレーでこれほどの強さを発揮できるのか。 サッカージャーナリストの大住良之氏が、プレミアリーグのデータや巧妙な「ブロック戦術」の裏側から、生まれ変わったイングランドが手にした「勝利の方程式」を解き明かす。
■全ゴールの「27.5%」がセットプレー
2025/26シーズンのイングランド・プレミアリーグでは、優勝したアーセナルのセットプレーによる得点の多さが話題になった。『The Times』紙によれば、今季のプレミアリーグでは、全ゴールの実に27.5%がセットプレーであり、1試合あたり0.76点がセットプレーから生まれたという。うちCKが0.49点、FKが0.15点、そして近年大きくクローズアップされているスローインも0.11点(9試合に1得点)あるという。
もちろん、イングランド代表のトゥヘル監督もセットプレーを重視してきた。
今大会の欧州予選を、イングランドはアルバニア、セルビア、ラトビア、アンドラと、「完全格下」のチームを相手に戦った。結果は8戦全勝、得点22、失点0というパーフェクトなものだったが、全8試合の先制点の半分、4点がセットプレーだったのだ。
試合は当然、守りを固める相手との戦いとなる。力の差があっても、自陣に引いて守りを固められたらゴールを割ることは難しい。この大会でも、スペインがボールを圧倒的に支配し(支配率73%)、27本ものシュートを放ったスペインがカーボベルデの守備を崩しきれず、0-0で引き分けている。




































