■視聴したのは「ミーティングのときですね」

「(視聴したのは)ミーティングのときですね。え、(ビデオが届いたってこと)まだ聞いてなかったですか? 言っちゃったかな。言っちゃったかな」

 自分からの“初出し情報”になってしまったことに焦った様子を見せると、張り詰めていた記者陣からも思わず温かい笑いが起きる。

 いったん言ってしまったからには仕方がないと腹をくくったのか、それとも隠すほどのことでもないという余裕の表れか、板倉は笑顔で話を続けた。

「選手だけのミーティングじゃなくて、チームミーティングのときにみんなで見ました。今日じゃなくて、おとといかな? うん、あってると思う。ダラスに入って、オランダ対策をするミーティングのときに見ました。おのずと士気はあがりますし、みんながみんな“航くんのために”とか、そういう(感傷的な)わけじゃないですけど、ひとつの、ワンチームとして今日も挑めたかなと思います」

 オランダ戦の最中、ベンチには遠藤の背番号「6」のユニフォームがチームと共にあり、板倉も試合後にそのユニフォームをスタジアムのサポーターに向けて高く掲げている。

 チームに直接の挨拶も残さず前主将が去ったことで、内部に何らかのわだかまりが残ったのではないかと我々は強く懸念していた。だが、このビデオメッセージによってその不安はおそらく消え去り、選手たちはこの出来事をしっかりと「乗り越えるべき過去」として昇華できたのだろう。

 遠藤からチームへビデオメッセージが送られていたという事実。そして「言っちゃったかな」と、おどけてみせる新主将・板倉の明るさと落ち着きは、日本代表にとってこの初戦の勝ち点1と同じくらい、いや、それ以上に価値があるものだと確信した。

 そう思うと、試合当日の朝に感じていたあの嫌なザワつきが、すっと引いていくのを感じた取材となった。

 次戦は現地時間20日に行われる第2戦、チュニジア代表戦だ。チュニジアは初戦でスウェーデンに1-5と衝撃的な大敗を喫し、大会1試合目にして早くも監督が解任された。新体制の下、崖っぷちに立たされ、なりふり構わず死に物狂いで勝負をかけてくるに違いない。

 そうした手負いの相手に対し、遠藤の想いを乗せて「真のワンチーム」となった森保ジャパンが、今大会初の勝ち点3を奪ってくれることを信じよう。

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