サッカーで一番盛り上がるのはゴールシーンであり、点を取る選手にスポットライトが当たりがちだ。だが、今季のJリーグMVPは得点を防ぐGKだった。サッカージャーナリスト大住良之が深掘りすると、強いチームとGKの切っても切れない関係が浮かび上がってきた。
■当然のMVP選出
Jリーグ(J1)の年間最優秀選手に鹿島アントラーズのGK早川友基が選ばれたのは当然だった。明治大学から鹿島に入って5シーズン目、1999年3月3日生まれ、26歳の早川は2023年から鹿島のレギュラーとなり、昨年までの2シーズン、ハイレベルなプレーを見せていた。しかし今季は「鬼気迫る」と表現していいほどの活躍。間違いなく鹿島優勝の重要なキーファクターだった。
38試合で23勝7分け8敗、勝点76、得点58、失点31という成績だった鹿島が、今季圧倒的に強かったわけではない。23勝のうち2点差以上をつけることができたのはわずか7試合。実に16試合が「1点差勝利」だった。「勝負強さ」のひと言だが、その背景には、鬼木達監督の采配、チーム守備の徹底とともに、GK早川のいくつもの「超セーブ」があった。
私がスタジアムで今季最後に鹿島の試合を見たのは、第37節(11月30日)の東京ヴェルディ戦(味の素スタジアム)だったが、この試合でも早川はチームを救う「超セーブ」を見せた。













