■C大阪に降りかかった「不運」

 もう一つの準決勝では、3回戦で日テレ・東京ヴェルディベレーザを破ったサンフレッチェ広島レジーナが、セレッソ大阪ヤンマーレディースを3対2で破って決勝進出を決めた。

 広島は現在WEリーグで6位、C大阪は8位という順位となっているが、広島はかなり完成度の高いチームなのに対して、C大阪はもともとが育成型のクラブで、WEリーグ創設から3シーズン目の2023-24シーズンから加盟したチームだ。

 さらに、昨シーズン、ベレーザの監督としてWEリーグ初優勝を成し遂げた松田岳夫氏を監督に迎えたばかりで新しいチームをつくっている段階だ。

 前半の入り方としてはC大阪のほうがよかったかもしれない。テクニックを活かし、ショートパスをつないで攻撃の形をつくっていく。ボールが動くのと連動して選手が動いてスペースに入る。そこにパスがつながって、さらに裏のスペースを使う……。

 脇坂麗奈と宝田沙織のボランチコンビがゲームを組み立て、サイドハーフの百濃実結香にSBの中谷莉奈が絡んでC大阪が左サイドから広島ゴールに迫っていく。

 ところが、12分には広島にあっけない先制ゴールが生まれた。右サイドハーフの李誠雅にボールが入り、李誠雅がクロスを上げると、そのクロスがやや流れて19歳のGK名和咲香の頭上を襲う形となり、そのままクロスバーをかすめてゴールに飛びこんでしまったのだ。

 不運な失点だったが、それでもC大阪はその後もパスをつないでボールを運ぶことができていた。だが、20分には広島が、左サイドで中嶋淑乃からの逆サイドまで届くクロスをFWの上野真実が折り返し、小川愛が絡んで最後は中嶋が決めた。効率的な2ゴール目でリードを広げた。

 こうして、試合はその後、広島が完全にコントロールするようになる。

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