■必要なタイミングで必要なポジションの選手を補強

 補強について言えば、2月上旬のGKホセ・スアレスの獲得も大きかった。25年シーズンのレギュラーGKと見込んでいた新加入のGK若原智哉が、プレシーズンに大ケガを負ってしまった。クラブはすぐに、徳島ヴォルティスで実績を積んでいたスペイン人守護神を獲得したのだった。

 スアレスが30節を最後にケガで戦列から離れると、復帰した若原が32節からスタメンに名を連ねた。ふたりのGKによるリレーも、J1昇格を後押ししたと言える。

 6月中旬には、FW森海渡を獲得した。J1の横浜FCで出場機会に恵まれていなかった彼は、23年に徳島で13ゴールを叩き出した実績を持つ。重量感のある大型のポストプレーヤーで、カルリーニョス・ジュニオとの相性もいい。小森がシントトロイデンへの期限付き移籍を終え、6月初旬に浦和レッズへ完全移籍したことで、千葉は新たなストライカーの獲得に動いたのだった。また、MF風間宏矢も同時期にシンガポールのクラブへ移籍していた。森と風間ではタイプが異なるものの、攻撃陣の枚数を確保する意味合いも含んでいただろう。

 森は12試合出場で無得点に終わった。期待どおりの活躍とはならなかったが、「J1昇格のために、できることはする」というフロントの熱意を読み取ることができた。

 サイドアタッカーの田中和樹が負傷した7月には、MFイサカ・ゼインをすぐさま獲得した。22年に横浜FCの一員としてJ1昇格の経験を持ち、J2で実績十分の彼をモンテディオ山形から迎え入れたことで、2列目の選択肢を担保したのだった。

 必要なタイミングで必要なポジションの選手を獲得したことで、シーズンを通して戦力の不足を感じさせなかった。それが、千葉のJ1昇格の裏付けとなったのは間違いない。

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