
地球規模で拡大し続けるサッカー。選手たちがプレーする大会は増え、技術や体力の向上では補いきれない「負荷」がかかっている。このままでは選手は、利益を上げるための「消耗品」になってしまう。現代において、サッカーの「本当の敵」は誰なのか。サッカーの「未来」を奪うのは? サッカージャーナリストの大住良之が「選手会レポート」などを基に、警鐘を鳴らす!
■「華やかな新大会」に非難も…
サッカー界の各方面からごうごうたる非難が上がる中、主催の国際サッカー連盟(FIFA)だけが「大成功」と浮ついているのが、今年「第1回」が行われた「FIFAクラブワールドカップ(FCWC)」である。6月14日から7月13日までアメリカで開催された「第1回大会」は、イングランドのチェルシーの優勝で終わった。
4年に一度、ワールドカップのプレ大会として、世界から32クラブが出場し、1か月間にわたって行われるFCWC。世界のスターの大半が集まる欧州から12ものクラブが出場し、ワールドカップ並みの華やかな大会となる一方で、ただでさえ過密日程の世界のサッカーにさらに新しい大会をつくり、選手からオフの期間を奪ってしまうことに大きな非難の声が上がってきた。
ただ、そうした意見の一方、「5大リーグ」のうちイングランド、スペイン、イタリアのリーグチャンピオン(リバプール、バルセロナ、ナポリ)が出場できなかったことに不満を持つ人もいた。「真の世界チャンピオン決定大会になっていない」というのだが、こんな「建前」の衣を脱がせれば、「もっと観客を集め、もっと視聴率を上げ、もっと収益を増やせるチームがあるのではないか」という、ただの「欲ぼけ」の感覚だ。