
J2北海道コンサドーレ札幌が、新体制になって初の連勝を飾った。勝利へ導いたのは、覚悟を持ってヨーロッパから戻ってきたキャプテンの一撃だった。
今季のJ1は、前節終了時点で首位の京都サンガF.C.から6位のサンフレッチェ広島までが勝点2差にひしめく大混戦となっている。J2も激しい争いが続いており、第27節終了時点で首位の水戸ホーリーホックは2位のジェフユナイテッド千葉に4ポイント差をつけてはいたが、2位の千葉から6位のベガルタ仙台までは勝点2差。J1自動昇格やプレーオフ出場をめぐって、J1に負けないほどの激戦が繰り広げられている。
そうした中で苦しい判断をしたのが札幌だった。開幕から4連敗を喫するなどスタートでは苦労したものの、徐々に勝点を積み上げていたが、第25節を終えた時点で今季から指揮を執る岩政大樹監督を解任したのだ。カンフル剤もすぐには効かず、バトンを受けた柴田慎吾監督の初陣はホームでブラウブリッツ秋田に敗れた。
だが前節にはヴァンフォーレ甲府相手にアウェイで勝利。新体制初のホーム白星と連勝を目指して、今節は4位につけるRB大宮アルディージャをホームに迎えていた。
序盤はRB大宮に押され気味だったが、徐々に札幌がペースを握る。中でも大きな働きをしたのがキャプテンの高嶺朋樹だった。
U-12から札幌のアカデミーで育った道産子で、U-18からトップチームには上がらなかったものの、筑波大学で同期の三笘薫らと活躍し、2020年に古巣でプロキャリアをスタートさせた。
2023年には柏レイソル、翌年にはベルギー1部のコルトレイクへと移籍したが、今年1月、完全移籍で札幌へと戻ってきた。復帰にあたり高嶺は「覚悟を持ってコンサドーレに帰ってきました」と宣言し、キャプテンのアームバンドも託されていた。
その覚悟を見せつけるようなプレーだった。0-0で推移していた前半終了間際、細かなステップで相手守備陣をほんろうすると、ゴール前でFKを獲得。すると高嶺は自らボールを置いた。
その前にも似たような位置でFKを獲得していたが、キッカーはスパチョークに譲っていた。その際にも連続シュートでポストに嫌われるなど惜しい場面があったが、ここで主将が覚悟を見せる。左足でインパクトした次の瞬間、ゴール左隅に強烈な一撃がまさに突き刺さった。