■「第2の釜本」はもう考えない⁉
川本「私は試合中は自分のプレーに集中していましたが、ポジションが同じだったりして気になる選手のことはウォーミングアップで何をしているのか、よく見ていました。ガマさんは大したことはしていなくて、試合に入ってもそれが変わらないんです。それほど動かないんですけど、常に肝心なところにいて、そこにボールが出てくる。超えるのは絶対に無理だと思いましたね」
大住「当時の日本リーグの選手たちは皆、同じ思いだったかもしれませんね」
川本「そうだと思います。だから私は、第2の釜本をつくるということは、もう考えないほうがいいと思います。残念ながら亡くなったガマさんは、“第2の釜本”を生み出させないほどの才能の持ち主だったということなんです。だから、新しいタイプの良いストライカーを育てることを考えたほうがいいと思います」
後藤「釜本さんの引退後、日本のサッカー界は第2の釜本に執着し過ぎた面があるよね。彼と同じようなFWを求めたって、無理というものだよ。新しいFWを求めないといけないのかもしれないね」
大住「でもね、練習の成果として必ずゴールの枠に強いキックを必ず飛ばすという能力は、釜本さんのレベルに近づいてほしいなと思うよね」
後藤「釜本さんだって学生時代までは右足だけだったけど、効き足ではない左足でも同じことができるようになろうと努力して、実際に身につけたわけだからね」
大住「そう、練習の成果なんだよね」
後藤「目的意識を持って、どういう練習をするかを自分で考えて、積み重ねる。確かに天賦の才なんだけど、才能を磨いたのは釜本さんの努力であり、周囲の理解なんだよね」