■「素手プレー」で相次いだケガ

大住「彼らにとっては、怖い先輩だったでしょうね」

川本「そうだったようですよ。ふだんから“ここにボールをよこせや”という感じだったみたいですね」

大住「昔読んだ話ですが、釜本さんが早大時代に日本代表に選ばれた頃、検見川の練習場でのボールを蹴り合う練習をベテランの八重樫茂生さんとやると、30cmズレるとボールを取ってくれなくて、丘の下に転がり落ちたボールを取りにいかなければいけなかったそうです」

川本「昔は、そういう人が多かったとも聞きますよ(笑)。でも、当時の選手たちは技術が高かったんだなとも思いますけどね」

大住「釜本さんの話で語り草なのは、日立製作所との試合だね。GKが相次いでケガをして、急きょGKとして出ることになった日立のフィールドプレーヤーは、釜本さんのシュートを止めようとしたら指の付け根が裂けたんだって」

後藤「釜本さんのシュートを受けてケガをしたGKは、他にもいるんだよね。昔は素手でプレーしていたGKも多かったし、ボールも重たかったからねえ」

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