■千葉がストライカーを補強、秋田といわきは得点源が流出

 1対0とリードした長崎は、2点目を狙いながら時計の針を進めていく。カウンターで相手の背後を取りやすくなり、笠柳が2度のビッグチャンスをつかんだが、追加点を奪うことはできない。

 最終盤の攻防で、キャプテン山口蛍がタフネスさを見せつけた。試合を通してルーズボールやこぼれ球を回収し続けたこのボランチは、後半アディショナルタイムに相手ゴール前まで侵入してシュートチャンスをうかがった。疲労が蓄積する時間帯でのロングスプリントに、経験豊富な34歳の存在価値を読み取ることができる。

 このまま1対0で勝利した長崎は、今シーズン初となる3連勝を達成した。5試合ぶりのクリーンシートも達成した。

 前半戦終了時点では、J1自動昇格圏の2位とは勝点10の開きがあった。しかし、勝点を37まで伸ばし、勝点40で2位のベガルタ仙台とは「3」差となっている。監督交代を反攻のスイッチとして、一気に上位へ食い込んできた。

 J2は7月12日開催の次節を最後に、2週間のブレイク期間に入る。一方で、夏の移籍市場は7月7日にウインドーが開き、8月20日まで選手登録が可能だ。

 すでに大きな動きがあった。長崎からはMF増山朝陽がJ1のFC町田ゼルビアに完全移籍。ブラウブリッツ秋田のFW小松蓮も同じくJ1のヴィッセル神戸へ完全移籍。また、いわきFCのFW谷村海那が、J1の横浜F・マリノスの一員となっている。

 小松は得点ランキング1位タイの10得点をあげており、谷口は8ゴールで4位タイである。秋田といわきは、取り替えのきかない得点源を失ってしまったことになる。

 新戦力の獲得に動いたチームもある。

 4位の千葉はFW森海渡を迎え入れた。23年に徳島で13ゴールをあげたストライカーだ。24年から横浜FCに在籍していたが、開幕直後のケガで長期離脱を強いられた。今シーズンはここまで、リーグ戦は2試合の出場にとどまっていた。前線でポイントを作れる森は、小林慶行監督にとって貴重な選択肢となるだろう。

 J1自動昇格圏を狙うジュビロ磐田は、MF井上潮音の期限付き移籍加入を発表している。今シーズンから加入したサンフレッチェ広島では出場機会に恵まれなかったものの、攻守をスムーズにつなぐMFとして評価は高い。上原力也金子大毅らと、ダブルボランチの一角を争うことになる。

 10位のヴァンフォーレ甲府は、ブラジル人FWミカエル・ドカを獲得した。前所属のセントラルコースト・マリナーズ(オーストラリア)では、右サイドを中心に複数のポジションを担い、78試合出場で13得点19アシストを記録している。大塚真司監督の起用法が注目される。

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