■HTに鈴木優磨が指摘したこと

 それはハーフタイムに鈴木優磨が指摘していた点でもあったという。
「前半からサイドをチャッキー(チャヴリッチ)がピン止めしている中、ボランチ裏が結構空いてるなと感じていました。ディフェンスラインの背後に走り出してくれないかと正直、思っていたけど、レオはそれ得意とする選手じゃない。そこで享介に『そこで前向けるし、相手のディデンスラインはあんまりスピードがないから、走ってくれたら出すから』と言っていました」と背番号40も言うように、田川の登場は渡りに船だったのだ。
 そのホットラインから後半20分に逆転弾をもぎ取ることに成功。シュート数は10対17と相手を大きく下回ったが、最終的には2-1で勝利。鹿島は6連勝を達成し、勝ち点を34に伸ばして、首位をガッチリと固めるに至った。
 鈴木優磨が言っていた「鹿島、今年は強い」というのを色濃く印象付ける形になったわけだが、本当に今の彼らは勝負強さが際立っている。そこは古巣に戻ってきた指揮官が最も強調している部分。選手たちも「ギリギリの際(キワ)で勝ち切る」ことを徹底するようになっているのだ。
 試合終盤にキム・テヒョンが足首を痛めながら最後までプレーを続けたが、今後への影響も懸念される。毎試合毎試合、何かしらのアクシデントが起きる中、チームをうまく回して、勝利を収めるマネージメントはさすがと言うしかない。古巣・川崎の面々も鬼木監督の手腕の高さを改めて痛感させられた一戦だったのではないだろうか。
(取材・文/元川悦子)

(2)へ続く
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