■涙で励まし合った取材
その後に始まった表彰式では、川崎フロンターレは「フェアプレー賞」を受賞。試合に負けてはしまいましたが、本当に誇らしいことです!
続く「準優勝」の表彰では、選手たちは記憶があるだろうか、歩いているのもやっとなのではないか、そんなことを考えながら準優勝メダルを受け取る姿を目に焼き付けました。
一方、優勝チームの表彰時に気になったのも、フロンターレの選手の姿。歓喜するアル・アハリの選手たちを見ているフロンターレの選手たちの姿を写真に収めましたが、それを肉眼で見ることはできませんでした。サウジアラビア勢にとってはとても有利なレギュレーションだったこともあって、これから日本を含めた他国のチームは“これを乗り越えていかなければならないのか”との気持ちがこみ上げてきました。
でもそんな気持ちを前向きにさせてくれたのが、フロンターレサポーターの姿でした。選手たちがゴール裏のサポーターに挨拶に行った際、サポーターの皆さんが、選手を励ますように、大きなジャンプと大きな声で、涙を流しながらも歌い続けていたのです。選手たちとサポーターみんなが向かい合ってエールを受け取る、その時間は数分続きました。現地までいろんなことを乗り越えて集まったサポーターの思いや励ましが、選手たちに伝わっていくといいなと思いました。
表彰式を見届けてミックスゾーンに到着すると、ピッチで選手を近くで撮り続けていたカメラマンさんの、明らかに泣いたであろう涙の跡、はれた目が。集まったフロンターレ番記者みんなで、“今日は最後まで取材を頑張ろう”と励まし合いました。
長谷部監督は会見で、「サウジアラビアのスタジアムに足を運んで応援していただいた皆様、本当に感謝しかありません。ありがとうございました。画面越しにパワーを送っていただいた皆様にも、川崎フロンターレ、Jリーグのチームはやれるんだというところを見せられたんじゃないかなと思います。引き続き一緒に歩んでいきたいと思います」とサポーターに対して感謝のメッセージが。
そして、選手たちは、言葉を絞り出すように、悔しい中でも話を聞かせてくれ、メッセージを届けてくれました。試合に出た選手の悔しさも感じましたが、試合に出ることができなかった、出ても自分の思う結果を見せることができなかった選手たちの表情からも、本当に悔しさが伝わってくるのでした。
山本悠樹選手が「試合に出れなかった選手もいてそれぞれの葛藤の中でぐっとこらえてやってくれた選手も多々いる。そういう選手に感謝をしないといけない」と話してくれたように、悔しさや葛藤をぐっとこらえながらチームを支えた選手たちがいたことも忘れてはいけないと思いました。