■勝利を手繰り寄せた鈴木優磨の得点

 鬼木監督はこの日、基本布陣を微調整。田川を1トップに据え、鈴木優磨を左サイドに配置。荒木遼太郎をトップ下に入れる4-2-3-1-でスタートした。だが、ニッパツ三ツ沢球技場のピッチ状態に苦しみ、ボールを思うように繋げない。相手に持たれ、サイドからクロスを蹴り込まれる形が多くなり、厳しい戦いを強いられた。
 それでも前半30分過ぎから鈴木優磨が中央にポジションを移動。流動的な立ち位置を取り、4-4-2のような形にシフトし始めてから、徐々にボールが収まるようになり、リズムも変化した。
「左サイドにいて『ここを狙えるな』というところがある程度、分かっていた。途中で1回、中に入って、そっちの方がうまくいったんで、オニさんも『そうしよう』と臨機応変にやってくれました」と背番号40は話したが、選手のやりやすいように仕向けてくれる懐の深さが鬼木監督のよさ。そのいい流れが後半のゴールラッシュにつながったのだろう。
 後半の鹿島は立ち上がりの2分にいきなりチャヴリッチが相手ボランチ・小倉陽太にペナルティエリア内で引っかけられPKをゲット。これを自ら決めて幸先のいい先制点を手に入れる。
 そして後半22分には、安西幸輝のサイドチェンジに反応したチャヴリッチが相手左WB新保海鈴の裏を取ってドリブルで持ち込み、走り込んできた鈴木優磨にパス。エースFWが確実に仕留め、かつてのプラティニを彷彿させる寝転がりパフォーマンスを披露。本人は「なんかありましたっけ?覚えてない」と素っ気ない反応だったが、これで勝利を確実にしたと言っていい。

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