■攻撃の「起点」となっているベテラン
町田戦で2点目のきっかけとなった西川からのフィードも話題になった。
西川は、現在ほどGKの足のテクニックが要求されていない時代から、左足でのキックの正確性を武器としていた選手だ。ただ、若い時代にはキックのテクニックに溺れることがあったり、また右足のキックでミスすることも多かった。
その西川はすでに38歳のベテランとなっているが、このところパス能力に一段と磨きがかかっているように見える。低い弾道のキックでターゲットを狙ったり、早いタイミングでスペースを使ったりと、再三にわたって浦和の攻撃の起点となっているのだ。
あの、町田戦の2点目のきっかけとなった西川のパスが注目されているが、どの試合でも西川が攻撃の起点となる場面は数回はある。町田戦の後半には、西川のパスにサイドバックの石原広教が相手ゴール前に走り込んで合わせるような形まであった。
西川のキックの精度は明らかに高まっている。
その石原が、タッチライン沿いに縦への正確なパスで右サイドハーフの金子拓郎を使うような場面もあった。西川だけでなく、このところ浦和の選手たちのパスのうまさに驚かされることが多い。
浦和の好調の原因の一つに、渡邊が復帰してトップ下で非常にクレバーなプレーをしていることもある。
かつて、FC東京に所属していた頃にはとくに印象的な選手ではなかったが、浦和ではまさに中心選手。昨年の浦和が降格争いを避けられたのも、渡邊の存在が大きかった。
中盤から前線までいくつものポジションでプレーできるポリバレント性(複数のポジションをこなせる、もしくは、一つのポジションで複数の動きができる)。そして、ゲームの流れを見ながら、巧みなポジショニングでパスのリズムを整える頭脳プレー。ちょうど、日本代表での鎌田大地を見ているような感覚のプレーヤーだ。