「大成功した」1トップ起用、パス能力が「磨かれた」38歳、「好調を支える」鎌田大地のようなプレーヤー【3連勝で4位浮上!浦和レッズ「V字回復」ウラ事情と「新たな課題」】(2)の画像
京都戦で勝ち越しゴールを決めた渡邊凌磨(写真右)。シュートもうまい、クレバーな「新トップ下」の存在がチームに勢いをもたらしている。撮影/原壮史(Sony α1使用)

 例年以上の大混戦となっている今季のJリーグ。その中にあって注目されているのが、3連勝を飾って4位に浮上した浦和レッズだ。なぜV字回復できたのか? 名門の「知られざる」復活劇のウラ事情と、「残された」最後の課題を、サッカージャーナリストの後藤健生があぶり出す!

■欠場は「故障」だけが原因なのか?

「モビリティー(攻撃の活動性)」という意味では、松尾佑介の1トップ起用も大きかった。

 それまで、マチェイ・スコルジャ監督はトップにはチアゴ・サンタナを起用していた。チアゴ・サンタナは2022年に清水エスパルスでJ1リーグ得点王となった実績を持ち、決定力のある選手だ。今年のシーズンでも、すでに3ゴールを決めている。

 そのチアゴ・サンタナが、第10節の町田戦でベンチ外となり、代わってトップで起用されたのが、それまでサイドでドリブラーとして活躍していた松尾だった。

 チアゴ・サンタナの欠場が、伝えられている通り故障によるものだけなのか、あるいは他の事情があるのかは僕は何も情報を持っていないが、いずれにしても松尾のトップ起用は大成功。相手DFラインの裏に抜けるスピードが武器となり、また速さのある松尾が前線にいることでチーム全体の前を向く姿勢が強くなった。

 町田戦では、38分にGK西川周作からの縦へのフィードをトップ下の渡邊凌磨がフリックして出したボールを、スピードを生かして飛び出した松尾がそのまま持ち込んで、シュートを決め、京都戦ではマテウス・サヴィオのCKにニアで反応してシュート。DFに当たって跳ね返ってきたボールを拾って、再びシュートし、DFの股下を抜いて決めた。

 スピードに加えて、シュートの落ち着きもあり、結局、スコルジャ監督は3連勝した試合すべてで松尾をトップで起用し続けた。

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