■日本代表の「高い壁」に⁉
Jリーグ史上希代の天才ストライカーであった久保は、横浜FCにとってのJ1でのデビュー戦に、1トップとして先発した。そして1点のビハインドで迎えた前半44分、中盤右でボールを受け、マークに来た浦和MF小野伸二を内側にかわすと、いきなり得意の左足を振り抜いた。ボールは矢のように浦和ゴールの右上隅を襲い、GK山岸範宏を破った。
得点後、左手を頭上でくるくる回しながら見せた「タコ顔」とともに、忘れることのできない一撃である。
ファンブロンクホルストの得点は、ケープタウンを舞台にウルグアイと対戦したワールドカップ準決勝の前半17分。左サイドでボールを受けたファンブロンクホルストは、3メートルほど前にボールを押し出し、数歩の助走から左足を一振。ボールは一直線にウルグアイ・ゴールに向かって飛び、懸命にジャンプしたGKフェルナンド・ムスレラの右手をかすめて右ポストの内側に当たり、ゴールに決まった。
ちなみに、この日のオランダ代表でキャプテンを務めたファンブロンクホルストは、オランダ代表106試合(6ゴール)というワールドクラスの選手だったが、父親はインドネシア系オランダ人、母親はインドネシアのモルッカ諸島出身だった。世が世であれば、インドネシア代表として日本代表の前に立ちはだかった選手だったかもしれないと思うと、首筋がヒヤリとするのを覚えるのである。