■世界記録の保持者は「GK」

 さて、「ロングシュートの世界記録」というものが『ギネスブック』で認定されている。それによると、記録保持者はイングランド「リーグ2」(4部リーグ)のニューポート・カウンティFCでプレーしていたトム・キング(現在はプレミアリーグのウォルバーハンプトン・ワンダラーズ所属)。ポジションはGKである。

 2021年1月19日に行われたチェルトナム・タウンとのアウェーゲームの前半12分、ゴールキックを得たニューポートは、GKキングがボールをセット、相手陣深く目がけて右足を振り抜いた。ボールは高く上がり、折からの強い北風に乗って伸びた。そしてチェルトナムのペナルティーエリアの手前で大きく弾むと、懸命にジャンプするGKジョシュ・グリフィスの頭上を越え、ゴールに吸い込まれて先制点となったのである。ただ、試合は前半のアディショナルタイムにホームのチェルトナムが同点として1-1で引き分けた。

 チェルトナムのワドン・ロード・スタジアムのピッチは、縦111ヤード(101.5メートル)、横72ヤード(65.8メートル)と、やや小ぶり。キングのゴールキックはゴールエリアラインのほぼ中央にボールが置かれて行われたから、『ギネスブック』は相手ゴールまでの距離は105ヤード、すなわち96.01メートルと認定した。これが、それまでの「世界記録」だった「91.9メートル」を抜いたのである。

(2)へ続く
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