
2024年9月の中国戦(埼玉)からスタートした2026年北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で5勝1分と圧倒的な強さを見せ、年内に王手をかけていた日本代表。2025年初戦だった3月20日のバーレーン戦(埼玉)で勝利すれば、世界最速、日本サッカー史上最速の本大会出場が決まるという状況だった。
しかも、直前に行われた試合でオーストラリアがインドネシアを撃破。日本は引き分けでOKとなった。これも追い風になると見られたが、逆に序盤からバーレーンにリズムを握られてしまう。
相手の三笘薫(ブライトン)対策は徹底されていて、最前線の上田綺世(フェイエノールト)がボールを収めようとした時には複数選手が囲んで自由を奪ってくる。中盤もケガ上がりの守田英正(スポルティング・リスボン)の状態が上がらず、停滞感が拭えない。前半は想定以上の苦戦を強いられたのだ。
それでも、「相手のコンディションと自分のコンディションを比較した時に、タケに個の力で局面を打開してゴールに結びつけるプレーをしてほしいという思いで起用した」という森保一監督の意図を汲み取った久保建英(レアル・ソシエダ)はピッチを縦横無尽に走り回り、膠着状態を打破しようとしていた。開始早々の8分にゴール前に抜け出した決定機を逃した悔しさも糧になったのか、「何としてもチームを勝たせない」という思いが全身ににじみ出ていた。