関根貴大石原広教が引き出したかった

 その田中が浮いていた場面もあったからこそ、もったいない部分もあった。
「終盤の浦和の攻撃時、サンタナには柏の田中がついていて、小屋松知哉に替わって左ウイングバックに入ったジエゴが金子に、渡井はセンターバックについていました。マチェイ・スコルジャ監督は荻原拓也と関根貴大、石原広教といったフリーになるサイドバックの選手に高い位置を取るように言っていました。
 構造上フリーになる石原・関根がもっと柏のディフェンダーを引き出す形を出せればもっと崩せたはず。それではなく、さらに自ら狭い所へと入っていったので、なかなか良い攻撃に結び付けられませんでした」
 戦術的な部分だけではなく、「前半だけで2点を取られるとホームチームは勢いを出していかなければいかませんし、アウェイチームは引くわけではないけど受けてしまう」要素もあったと話す。
 では、浦和は打つ手がなかったのかと言えば、もう少し試してほしかった部分もあるという――。
(語り:二階堂悠)
(「その4」へ続く)

【にかいどう・ゆう】
1984年5月17日生まれ。宮城県出身。筑波大学大学院卒業後にメキシコ留学を経て、杭州緑城(中国)のコーチに就任。2014年からモンテディオ山形のコーチ、2017年から川崎フロンターレのコーチを務めた。川崎ではクラブの国内7冠達成に寄与し、24年シーズンを持って同職を退任した。

(4)へ続く
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