■選手補強が勝ち切る強さに
チームの勝ち切る強さに結びついているのが、選手補強の成功だ。ジュビロ磐田から獲得したジャーメイン良と湘南ベルマーレから加入した田中聡が全試合で先発出場。ピッチの上でしっかりとした順応を見せ、すでにチームに馴染んでいる。
この試合でPK獲得につながるジャーメインへのクロスを供給した加藤陸次樹にジャーメインとの関係性について聞けば、「非常に、本当にやりやすい」と笑顔で首肯したうえで、「クロスを上げたらそこにいてくれますし、パスを出したら“ここにいるだろう”って所にほとんどいてくれます」と話す。
田中聡本人に聞いても、「複雑な戦術がないので、すごく分かりやすい。マンツーマンでつくので、守備は特にやりやすさを感じています」と充実の表情を見せている。
ミヒャエル・スキッベ監督もジャーメインについて「我々のチームにとって一番大きな補強だった」と絶賛すれば、「プレスに行くこと、ボールを受けること、はたくこと、そういう部分も非常に満足しています」とゴール場面以外でもチームに貢献しているとする。
田中についても「(川村)拓夢がいなくなって、その後、来たわけですけれども、それ以上の働きをしていれていると思っています。ボールを奪うところ、ボールをさばくところ、それから1対1、スピードとか発想力の部分に関しても、申し分ない」と賛辞を惜しまない。
ここまでは、新加入選手を良い形でフィットさせ、そして、それをチーム力に変えているのだ。
ただし、広島にとって大事なのはこれをこのまま続けられるかというところ。そのヒントが、横浜F・マリノス戦にもあった――。
(取材・文/中地拓也)
(後編へ続く)