川崎、神戸「2月の大勝」、秋春制への「方式の変更」、準々決勝以降の「集中開催」が意味すること【ACLEリーグ・ステージが示す「日本サッカーの成長」と「大会方式の大問題」】(2)の画像
2月中旬に行われたACLエリートで結果を出した川崎フロンターレ。これは、Jクラブの成長を意味している。撮影/原悦生(Sony α1使用)

 今年に入り、AFCチャンピオンズリーグで日本勢が好調を維持している。日本のファンにとっては喜ばしいことだが、一方で大会の方式などには疑問点も残る。サッカージャーナリスト後藤健生が、ACLに鋭い目を向ける。

■「隔世の感のある」2クラブの強さ

 また、Jリーグ開幕前の2月に行われた試合で、日本のクラブが強さを発揮したことも特筆すべき事実だ。

 というのは、10年ほど前まで、日本のクラブはこの時期に行われた試合で結果を出せずに苦しんでいたからだ。

 当時のACLはいわゆる春秋制で、Jリーグ(Kリーグや中国超級も同じだが)開幕直前にグループ・ステージの初戦が行われることが多かった。

 ところが、日本のクラブはシーズンオフ明けに合宿を開始してから段階的にチーム作りを進めるので、仕上げに時間がかかるようなのだ。Jリーグの開幕を目指して、各クラブが逆算しながら調整を進めるのである。

 それに対して、中国や韓国のチームは仕上がりが早い。だから、2、3月に行われるACLの第1節、第2節では日本勢はなかなか結果を出せず、Jリーグ開幕後時間が経過するとともに徐々にコンディションを上げていた日本のクラブが第3節以降に巻き返して、最後の順位争いに持ち込むというのが、毎年のACLのパターンだった。

 その後、Jリーグや日本サッカー協会の支援もあって、Jリーグ・クラブもACLに照準を合わせて準備するようになって、開幕直後の試合でもなんとか互角に戦えるようになっていた。

 だが、今シーズンはJリーグ開幕直前の2月中旬に行われた試合で日本の3クラブが結果を出したのだ。ヴィッセル神戸川崎フロンターレは中国、韓国のチーム相手に4対0のスコアで圧勝した。

 10年ほど前のことを考えたら、まさに隔世の感である。

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