三笘薫に感じたこと

 実際、プロ1年目で目覚ましい活躍を見せた三笘薫(現・ブライトン)のプレシーズンを思い出し、「(練習試合に)出たら点を取ってましたもん。今でも思い出しますけど。だって俺、あいつに言うことないなって思ってました」と振り返る。
 川崎フロンターレは三笘だけでなく、守田英正田中碧旗手怜央板倉滉ら多くの選手を世界に羽ばたかせてきた。それと同じ期待感を、中村氏は今のチームにも抱いているのだ。
 そんなチームの歴史を築いてきた重要な存在が鬼木達監督。今季から鹿島アントラーズの監督に就任しており、常勝軍団のエンブレムが輝くチームウエアを着て指導している。
 新たな道を歩む鬼木監督の姿を見て、長年、共闘してきた中村氏は「鬼さんももう向こうで前に進んでるし、僕らも前に進まなきゃいけない。もうスタートを切っているので、サポーターの皆さんも開幕が待ち遠しいと思いますが、期待して待っててほしい」と決意を固める。
 中村氏がチームにもたらすものは技術やメンタルに限ったものだけでもない。フィロソフィーを大事にしながらも新たなスタートを切ったチームにおいて、有形無形の“フロンターレらしさ”を昇華させなければいけないのだ。
 まだ未達のACLEのタイトルへ、そして、川崎フロンターレの「最強」復活へ。かつての背番号14が、チームを再びけん引する。
(取材・文/中地拓也)

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