視界が暗くなると、予想外の雨がノートに書いていく文字をにじませていった。1月12日の午前10時過ぎの、鹿島アントラーズのクラブハウス前のグラウンド。無数にある書きたいことを阻むかのようなその悪天候が、視線をピッチへと集中させた。
そのグラウンドの上では、鹿島の選手が今季初めての実戦に挑んでいた。サポーターが見守る中、鬼木達監督率いるトップチームはユースチームと兄弟対決を行ったのだ。
川崎フロンターレを率いていた8年間で獲得した主要タイトルは7つ――古巣に戻ってきた名将に対する期待は大きく、鹿島で用いるシステムや選手起用には多くの声が挙がっていた。その中で予想されていたのは4-2-3-1という、トップ下を置く戦い方。2列目の中央には、FC東京から復帰した荒木遼太郎が入るとも、FW鈴木優磨が起用されるとも言われた。
しかし、鬼木監督がこの試合で採用したのは4-4-2。セレッソ大阪から移籍してきたFWレオ・セアラとFW鈴木優磨が横に並んで2トップを組んでみせた。