■イングランドの「背番号」の意味
これによってさまざまな戦術が工夫され、最終的に1880年代には「ピラミッド・システム」という選手の配置が定着した。GKの前に「フルバック」2人、「ハーフバック」3人、そして「フォワード」が5人並ぶ。今日的に表現すれば「2-3-5システム」だが、FW側から見ればGKを頂点としたピラミッドに見えることからこう呼ばれるようになった。そしてこの形がサッカーの基本となり、半世紀にわたって使われたため、「クラシック・システム」とも呼ばれることになる。
サッカーが英国から世界に広まったのは、まさにこの時期、1880年代から20世紀の初頭にかけてだった。当然、このシステムによるプレーが伝えられ、世界の多くの国にとっては「ピラミッド・システム」がサッカーのスタートであり、サッカーそのものだった。
蛇足だが、イングランドの伝統的な背番号も、このシステムに対応してつけられた。GKが1番、両「フルバック」は右が2番、左が3番、「ハーフバック」は右から4番、5番、6番、そして「フォワード」も右から7~11番という形である。
そして驚くことに、「革命後」の1930年代に入っても、世界の多くの国では「ピラミッド」は変わることなく続けられていたのである。1924年のパリ大会と1928年アムステルダム大会でオリンピック連覇(その間に「革命」は起こっていたのだが…)を成し遂げ、1930年の第1回ワールドカップでも優勝を飾ったウルグアイは、ワールドカップ優勝まで「ピラミッド」で戦っていた。