大住良之の「この世界のコーナーエリアから」第154回「2025年はサッカー革命100周年!」(1)W杯優勝ウルグアイも使った「ピラミッド・システム」と妥協の産物として生まれた「3人制オフサイド」の画像
100年前の「革命」がなかったら、神の子リオネル・メッシは、サッカーをやっていなかったかもしれない。撮影/渡辺航滋(Sony α1使用)
■【画像】サッカーに革命をもたらした「変更」と【図解】「革命前」と「革命後」のオフサイドライン

 サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。サッカージャーナリスト大住良之による、重箱の隅をつつくような、「超マニアックコラム」。今回は「3人と2人じゃ大違い」。あるルールの変更で、サッカーが世界中で愛されるスポーツになったという。もしかしたら、ペレも、マラドーナも、メッシも、クリロナも、そしてエムバぺも、ヤマルもサッカーをやっていなかった可能性すらある、意外と知らない「サッカーの大革命」にスポットを当てる!

■わずか1語の変更で「明治維新」

 2025年は「サッカー革命100周年」の記念すべき年だ。

 1925年を境にサッカーは、誕生からそれまでの62年間とはまったく違ったものとなった。半世紀近く使われてきたシステム(選手の並び方)は使い物にならなくなり、「革命」に対応した新しいシステムが生み出されて一世を風靡したものの、やがて、そこからさまざまな考え方のサッカーへと発展していく。サッカーをより自由にし、戦術的多様性を持った競技へと発展させたのは、まさにこの「革命」だった。

 革命を起こしたのは、サッカーのルール条文のわずか「1語」の変更だった。1924/25シーズンのルールでは「three」とされていた語句を、1925/26シーズンには「two」に変えたのである。ルール第6条、「オフサイド」に関する条文は、当時134語で成っていたが、変更されたのは、まさにこの「1語」だけだった。

 これが、日本史でいえば、明治維新のようにあらゆるものを変えてしまったのである。

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