■ついに開幕した「アトランタ五輪」
そしてついに、1996年7月、アトランタ・オリンピックを迎える。アトランタはアメリカ東南部のジョージア州の州都だが、サッカーは同じジョージア州のアセンズという町が主会場となり、他にはアラバマ州のバーミンガム、フロリダ州のマイアミとオーランド、そして首都ワシントンDCで試合が行われることになっていた。
日本はD組に入り、マイアミでブラジルと初戦を戦った後、同じフロリダ州のオーランドに舞台を移し、ナイジェリア、ハンガリーと対戦することになった。
マイアミは都市圏の人口600万人という巨大都市である。ダウンタウンに近い収容7万4476人の「オレンジボウル・スタジアム」が、このオリンピックのサッカー会場だった。人気の大学フットボール(アメリカンフットボール)の会場として全米に知られており、建設から60年近くたってやや老朽化は目立つものの、アメリカの名スタジアムのひとつと言われていた。
1996年7月20日、このスタジアムにオリンピックのサッカーがやってきた。A組のフランス×オーストラリアが、その最初のゲームだった。オーストラリアでは昨年まで横浜F・マリノスの監督を務め、現在は中国の上海海港で指揮をとるケビン・マスカットがDFとしてプレーし、2年後にワールドカップ優勝メンバーとなるフランスFWロベール・ピレスを厳しくマンマークした。華々しい開幕セレモニーもあったが、観客は1万4322人。試合はピレスとフロリアン・モーリスの得点でフランスが2-0の勝利を収めた。