■「崩しても点を取る人がいなかったら意味がない」
そしてふたを開けてみると、やはりここまで全試合途中出場で、9月のバーレーン戦(リファー)と10月のサウジアラビア戦(ジェッダ)でそれぞれ得点している小川がスタメン入り。最前線に陣取り、2シャドウの鎌田大地(クリスタルパレス)や南野らと連携しつつ、ゴールを狙う形になった。
序盤から一方的にボールを保持し、押し込んだ日本だが、開始15分くらいまではパスをカットされ、カウンターを食らうシーンが続き、嫌なムードも流れた。それでも鈴木彩艶(パルマ)のビッグセーブなども奏功し、0-0のまま試合が推移していく。
そこで小川が大仕事を見せたのが、前半35分の先制点のシーン。町田浩樹(サンジロワーズ)の斜めのボールを守田が反転しながらさばき、そこに鎌田が侵入。DFをかわして折り返したところに背番号19が飛び込んだのだ。これは相手DFハブナーに当たってオウンゴールになったが、守田と鎌田、小川の3人が流れるような連携連動を見せた結果、生まれた得点だったのは確かだ。
「ボックス内を固められた中で、結局、崩しても点を取る人がいなかったら意味がない。しっかりと点を取れる一番危険なところに入っていくということは意識してたんで、ああいうのは自分の特徴でもあるし、たまたまのゴールではないと思ってます」と小川は自信をのぞかせた。それこそが彼が持ち合わせているストライカーの嗅覚なのだろう。
そうでなければ、この試合に挑む時点で代表7試合で7ゴールという数字は残せない。今回の1点は惜しくも数字にカウントされず、彼の代表アウェー戦連続ゴール記録も途切れてしまったが、「自分はこのチームの中で一番点の取れる選手だと思っている」という口癖の通り、怖いところに侵入できる力というのをこの日の小川は改めて示したと言っていい。