■「ルーツ」、そして「帰化」でチーム強化

 ただ、こうした強化法の発明者がセネガルというわけではない。アイルランドは、古くからこうした「ルーツ開拓法」でチームを強化してきた。イングランドのプロのなかからアイルランドにルーツを持つ選手を探し出し、説得してアイルランド代表に仕立て上げたのである。代表選手になって初めてアイルランドの土を踏む選手も珍しくなかった。

 近年は中国の「帰化選手」が有名になった。「ルーツ」が中国になくても何年も中国のリーグでプレーしている選手に国籍を与えることで、ブラジルU-23代表の経歴をもつFWエウケソンなどが中国代表でプレーしてきた。その一方で、守備の中心となっているタイアス・ブラウニング(蒋光太)は、祖父が中国出身である。

 現在ワールドカップのアジア3次予選に出場しているチームでは、イラクも「欧州生まれ・欧州育ち」の選手が多いことで知られている。1980年代から続く戦乱でイラクから逃れ、北欧に定着した人々の子どもが多い。

(3)へ続く
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