2022年ジャワ州「130人の犠牲者」とFIFA大会「悲願のホスト国」、2002W杯8強セネガル代表との「共通点」【サッカー日本代表と11月決戦「過去最強インドネシア代表に警戒せよ」】(2)の画像
アジア杯インドネシア戦で、上田綺世の2点目をアシストした堂安律(写真)。だが、インドネシアの諦めないディフェンスには苦戦を強いられる場面も。撮影/原悦生(Sony α‐使用)

 ワールドカップ本大会出場に向けて、着実に歩みを進めているサッカー日本代表。現在、アジア3次予選C組で首位に立っており、次に対戦するのはインドネシア代表だ。ここ数年で急速な進化を遂げ、「決して侮ってはならない相手になった」と警鐘を鳴らすのは、サッカージャーナリストの大住良之。11月15日にアウェイの地で戦う「ライバル」を徹底的に分析する。

■世界的に話題になった「2つの出来事」

 インドネシアには、ここ数年で2回、世界的な話題になった出来事があった。ひとつは2022年10月、東ジャワ州での国内試合で暴動が起き、130人を超す犠牲者が出たことだ。人口約2億7000万人。インドネシアはインドと中国に次ぐ人口を持つアジアの大国である。その国がいかに「サッカークレージー」であるか、この悲劇が逆に雄弁に証明した。

 もうひとつは2023年の5月から6月にかけて開催を予定していたFIFA U-20ワールドカップ(インドネシアで初めてのFIFA大会になるはずだった)の開催権はく奪。この大会は当初2021年に開催の予定だったが、コロナ禍の影響で2年間延期されたもの。2022年にイスラエルが出場権を獲得した時点では問題はないように見えたが、2023年3月になって反対意見が噴出、開催を主張するジョコ大統領もそれを抑えきれなかったのだ。

 だが同じ年の11月から12月にかけてFIFA U-17ワールドカップを開催する予定だったペルーの準備状況が悪く辞退すると、FIFAは6月にインドネシア開催を決めた。というわけで、少し若い年代の大会となったが、昨年、インドネシアは無事に「FIFA大会」のホスト国になったのだ。

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