【85分間の数的不利……苦しい上海戦で川崎の主将・脇坂泰斗が示したもの(1)】キャプテンとしてあえて言葉にした「開始5分でのプレー」……懸命に説明した消化できぬ悔しさの画像
上海申花戦でプレーする川崎フロンターレの脇坂泰斗 撮影:中地拓也

 日本で言えば、晩秋のような冷え込みだった。敵地・中国に乗り込んで行われた川崎フロンターレと上海申花の一戦。10月23日という暦で言えばそれに相応しい気温かもしれないが、日本から来た身としては着こみたくなるほどの肌感だ。

 そんな寒さを無視するかのような熱気を、脇坂泰斗は帯びていた。試合後の上海大運動場のミックスゾーンでのことである。顔も目も、赤みを帯びている。
 悔しさか、怒りか――
 感情を言葉で確認してしまうほどに、高まるを何かを感じさせた。その質問に、脇坂は筆者と目をまっすぐ合わせながら、「悔しい、ですね。はい。単純に。10人でね、いいところも……点を取れそうな感じはあったし……。悔しいです」と答える。
 キャプテンとして、いちプレイヤーとして、アジア制覇を狙う者として、残り少ない鬼木達監督との試合を勝利で飾るため、何より、ピッチで躍動するため。消化できぬさまざまな感情が、短く重ねた言葉に込められていた。
 だからこそ、開始5分のプレーには厳しい言葉も出す。
「もちろん負けはみんなの負けですし、みんなのせいですし、失点もみんなのせいなんですけど、退場は個人で改善できるところもあると思う。それを本人はすごい反省してたので、次にやらないようにというか、いらないプレーだと思うので、それはチームで共有した方がいいと思います」
 チームをまとめる立場として、あえて言葉にしてみせた。

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