■「もちろん気にはなりますけど、今は山形の選手」
開幕の名古屋グランパス戦こそ、土居は先発に抜擢され、新戦力・チャブリッチと2トップ気味に使われたが、その後は出番が減少。柴崎が負傷離脱していたこともあり、ボランチでも試されたが、佐野海舟と知念慶でいいバランスが取れるようになると、その起用もなくなっていった。5月以降はベンチ外も増え、本人も苦悩の日々を過ごしたに違いない。
「僕と岳の例で言うと、ホントに話さなくても、見てなくても、パスが来るとか、そういうのがあったんです。満男さんだったり、ヤス(遠藤康=仙台)君だったりもそうなんですけど、『こいつだったらこう動いてくれる』『こいつってここに出してくれる』というのがあって、同じ絵を描けていた。そういう信頼関係をもっと密に築いていかないといけないですね」と土居は4月に語っていたものの、そういう場も与えられなかった。
ここままでは終われない…。山形への完全移籍という決断はそんな思いがあってこそ。7月24日のブライトン戦が鹿島ラストゲームになったわけだが、先にチームを離れた松村優太(東京V)は土居の山形行きを知らされていなかった様子で「ホントにビックリした」とコメント。本当にごく身近な人間だけに相談して、決めたのだろう。
いったん鹿島を離れた以上、身も心も山形の一員になるつもりで彼は取り組んだ。それが8月以降の11試合4ゴールという結果につながったと言っていい。
「もちろん(鹿島のことは)気にはなりますけど、今は山形の選手なんで、しっかり山形で結果だったり、いろんなものを残していきたいと思ってるんで、あんまり鹿島を気に掛ける余裕がないというか、本当にいっぱいいっぱいなので」と清水戦後にも話していたが、今の土居はいかにして山形をJ1に上げるかに全身全霊をかけている。